ようやく抜糸です
手術から2週間が経ち、ようやく抜糸をすることになりました。
退院したときの王子さま、手術で縫合された背中はガーゼを当てたりすることもなく、むき出しの状態でした。
毛も剃られているし、目に見えるぶん、痛々しくてかわいそうになります。
釣り糸みたいにナイロンで出来ていて固いんですよね、縫ってある糸って。
指先にあたるとチクッとする感じです。
触ってみると、それがすごく気になるんですよ(๑⁺д⁺๑)
本当に大丈夫ですか?と失礼ながらも先生に何度も確認をしましたが、
とのこと。
先生が大丈夫だというのだから平気なんだと思いますが、
おむつ(バッククロス マナーガード)を着せても、背中側の服の開きから縫い目が1cmくらい出ていたので、
心配性すぎる下僕は王子が床に背中をこすりつけてウネウネするたびに、
などと心配事が尽きませんでした。
無事にこの日を迎えることが出来て一安心です(◍ ´꒳` ◍)♪
抜糸は一瞬でした。
もちろん先生の手際の良さも大きく関係しているとは思いますが、本当にあっという間でビックリです。
処置室に連れて行かれてそこで取ってもらえるのかな、などと考えていたのですが、
その場で糸に数カ所ハサミを入れ、スッと引っ張って抜くだけで終わりました。
王子も自分が何をされているのかよくわかっていない様子でキョトンとしていたので、痛みも糸を抜かれる違和感も感じていなかったのだと思います。
あとはいつも通りの診察で、
と、両足ともしっかりとした反応があって、
とてもとてもいい感じだとお墨付きをもらうことができました(o≧∀≦o)ノ゙
まだしっかりとは立てないけど自分で立とうと頑張ってるし、傷もちゃんと治ってきてる。
その事実がなによりも嬉しいのです(*´ `*)
人も同じですが年をとってくると傷などの治りが遅くなり、それがまた体に良くなかったりします。
9歳というまあまあの年齢の手術でそれが心配だったけど、
王子の頑張りと回復力には感謝と感動しかありません。゚(゚ノ∀`*゚)゚。
縫合糸について
縫い合わされている王子の背中を二週間見ていて、ずっと気になっていたことがありました。
縫い合わされていた糸です。
たまに裁縫をするときの糸とは全然違う、釣り糸のような糸で、
指を締め付けられたら絶対痛いタイプです((;゚Д゚))
そこで縫合糸について、先生に教えていただいたことを元に調べてみました。
王子に使われていた糸
王子さまに使われた縫合糸はモノフィラメント非吸収糸という糸です。
聞き慣れない、難しく聞こえる単語ですが、
簡単に言うと吸収されない一本の糸という意味です。
「モノフィラメント」=「単一」
「非吸収糸」=「体に吸収されない(溶けない)糸」
という意味で、より糸ではなく一本の糸になります。
違いなんてあるの?
糸はぜんぶ一本でしょ?
わけわかんない!
と、そう思ってしまいますよね…(´・ω・`)
では、
順番に説明していきます。
モノフィラメントとブレード
単一の糸=「モノフィラメント」に対し、より糸=「ブレード」といいます。
より糸は複数の細い糸(繊維)を絡み合わせて作られている糸のことを指します。
身近にある糸などを見てもらうと分かりやすいのですが、
一本の糸を捻ってみると何本かの細い繊維が合わさっています。
これがより糸です。
そして単一の糸とは、より糸とは逆の、つるんとした糸です。
複数の繊維を絡ませて作られていない糸を指します。
テグスなどをイメージしてもらうと分かりやすいのではないかと思います(´ー`*)
より糸は複数の繊維が絡まり合ってできているので絡み合った細い糸の間に隙間ができてしまいます。
それは人の目には見えない、さらに体の免疫細胞は入り込めないほどの小さな隙間で、
細菌にとっては最高の住処になる危険性があります。
単一の糸はより糸のように細菌が入り込む隙間がないために炎症などを起こす危険性が低く、
手術では出来るだけモノフィラメント糸を使用することが推奨されているそうです。
吸収糸と非吸収糸
これは字面の通り、そのまんまの意味ですね。
術後に体に吸収されて溶けてなくなるのが吸収糸、
吸収されず溶けずに残ったままなのが非吸収糸です。
非吸収糸は抜糸が必要ですが、
吸収糸は溶けてなくなるため抜糸の必要がありません。
- 溶けても大丈夫なところは吸収糸
- 困るところは非吸収糸
と、手術の内容によって使い分けられているそうです。
体の中の患部に吸収糸を使うと、抜糸のための再度の開腹、なんてことがなくなって、
わんちゃんの体の負担がぐっと減ります(・∀・)
要注意の絹糸
昔は手術に使用する糸といえば、とても使い勝手がよくて費用も安い絹糸が一般的だったそうです。
絹糸は天然素材(蚕のつくり出すタンパク質の糸)のため、強い生体反応がおきやすく、
異物反応や炎症など様々なトラブルの原因になることが多いことから、近年では絹糸はほとんど使われないそうです。
大切な愛犬がより苦しまなくてすむように、獣医学は日々進歩してくれているんですね(*´ェ`*)